「日本人の行動文法」
経済学者の竹内靖雄氏が書かれた傑作です。日本人の行動原理を、文法書の形式でわかりやすくまとめてあります。日本人の行動について外国人から質問された人は、この本で学んだことを説明してあげれば、すぐにわかってもらえるでしょうし、日本人から見ても変と思われるような日本人の行動にもそれなりの理由があることがわかります。
私が読みながら、興奮気味に下線を引いた箇所がたくさんあるのですが、ここでは1箇所紹介しておきます。若者のボランティアに関して、筆者は次のように述べています。
(引用開始)
「新人類」世代は、親子、夫婦などの抜き差しならない関係を維持することには苦痛を感じる反面、自分が「無限責任」をもたなくてもよい不特定多数の他人を相手に奉仕活動をすることは苦にしない。病気の老親の面倒を見ることよりも、遠いアフリカの難民を救済するために働くことを有意義だと考えるのである。
(引用終わり)
以前、福岡でユニバーシアード大会が行われたときに、私は語学ボランティアをしましたが、そのとき、各地でイベントがあるたびにボランティアとして参加する「ボランティアおたく」がいることを知りました。彼らは、定職について所得税を納めることよりも、そのとき、そのときで、「ああ、オレはいいことをしてる~」という感情にひたりたかったのでしょうね。
本書は、日本人の行動原理についての教科書であり、読者諸氏が自分の経験や観察をこの本と照らし合わせることによってますます日本人に対する理解が深まることでしょう。ただ、残念なことに、単行本(東洋経済新報社1995)は絶版であり、その後出た文庫本(PHP文庫2000)も増刷されていないようです。これほどの名著が、なんとももったいないことです。この本を読んだ日本人の中には、あからさまに正体をばらされたようで嫌な気分になった人がいたのでしょうね。
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